死がふたりを分かつとき 精神科医と仏文学者、別れの記録
アーヴィン・D・ヤーロム・著・マリリン・ヤーロム・著・勝田さよ・訳
【目次】
第1章 命の小箱――生と死を考える
第2章 病人になる
第3章 人生ははかない
第4章 ここにいたい理由
第5章 引退を決意
第6章 失意と希望を行ったり来たり
第7章 もう一度『死の不安に向き合う』を読む
第8章 そもそもだれの死なのだろう
第9章 人生の終末と向き合う
第10章 医師幇助自殺を考える
他35
【記事】
「いとしいマリリン、私が書きはじめていた本の執筆を中断し、代わりにいっしょにこの本を書くのだと言って、君は譲らなかった。そうしてくれたことに一生感謝する――この執筆プロジェクトのおかげで、125日前に君を失ってからも生き永らえることができた」
2019年、米国の著名な精神科医アーヴィン・ヤーロムの妻で仏文学者のマリリンは、がんと診断される。マリリンの提案で、ふたりは、病気や死と向き合う日々を一章ずつ交互に執筆し、一冊の本に仕上げることにする。
ふたりは心身の不調からくる苦しみや生活への不安、死へと思いをめぐらせ、互いを深く思いやる気持ちを赤裸々に綴る。高齢者向け施設に入って暮らすべきなのか、そして死後、膨大な蔵書や持ち物をどうすべきなのか――終末期が訪れればだれもが逃れられない問題も、夫婦の前に立ちふさがる。
やがてマリリンに安らかな死が訪れ、残りの章は、アーヴィンが妻を失ってからの日々を綴っていく。15歳で出会って以来、70年以上ずっと一緒だったふたりが永遠の別れを覚悟する日々、そして喪失と悲嘆に向き合うひとりの精神科医の苦闘の記録。