【記事】
臨床工学技士を目指している方に向けた薬理学の入門教科書。薬理学で用いられる用語の意味や概念、また、様々な疾患における代表的な「くすり」の作用機序や副作用、臨床応用について掲載。第2版では、出題基準改正により令和8年から新たに追加される「抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)」に対応した内容とし、それに伴う確認問題の追加を行った。
<まえがき>
薬理学は生体とくすりとの関係を学ぶ学問領域で,人体の構造と機能(解剖学,生理学),細胞表面や細胞内での営み(生化学),外敵の侵入からの防御(免疫学),疾病の成り立ち(病理学)を理解したうえに成り立っている。それゆえ,基礎医学系分野の総合力が必要となる。
本書の第1版をコメディカルの薬理学学習の入門書という位置づけで2017年に出版する機会を頂いた。あれから9年が経過し,今日ではくすり(医薬品)がより身近なものになりつつある。今回の改訂では第1章・総論に医薬品に関する分類や情報を加え,将来のセルフメディケーションに向けた内容を追加した。また,第2章では従来の抗感染症薬に加え,近年,日本人の2人に1人が罹患すると言われる悪性腫瘍(癌)に対して抗悪性腫瘍薬を新たに加筆した。さらに,臨床工学技士国家試験の過去問題を追加したので,国家試験対策にも活用してもらいたい。
本書はこれまでの授業で使用してきた資料やレジメをできるだけ簡潔にわかりやすくまとめ,各章ごとに課題,確認問題,臨床工学技士国家試験問題と問題解答を付けた内容とし,授業中や自習学習において教科書に書き込めるようにサイドスペースを空白としている。テキスト&ノートとして活用してほしい。学生から「くすりの名前が多くて覚えられない」という言葉をよく聞く。くすり名の羅列は止め,代表的なものに絞り記載した。授業に出席して聞くだけでは理解できない事柄も多く,より理解を深めるには予習つまり授業で学ぶ章を一読しておくことである。各回の授業までにその章を「必ず読む」ことを実行してほしい。個人が自己責任で医薬品を購入するセルフメディケーションの時代に向けて,本書を通して自分で調べることを身につけることが目的であり,本書がその第一歩となることを切に願う。
最後に,今回も本書改訂に多大なる激励と各章にわたり貴重なご助言を頂いた稲垣千穂先生(内科医師 医学博士)に深謝致します。
2026年6月
海本 浩一