【記事】
近年、アレルギー疾患の診療は、病態解明の進展とともに大きな変革期を迎えています。特に分子標的治療薬の登場は、従来の一律的な治療戦略から、個々の疾患の病態に応じた精密医療への転換を促すことに結び付いており、患者さんの予後および生活の質(QOL)の向上に大きく寄与しています。その一方で、依然としてコントロール不良例や重症例が存在するだけでなく、高齢化社会の進展や薬物依存症の増加など、臨床現場における課題は多岐にわたっています。
このような背景のもとで『PGAM2026(Practical Guidelines for Asthma Management 2026)』は、最新の科学的な知見と実臨床の経験を融合し、より実践的かつ柔軟な診療指針を提示することを目的として2024年版から改訂が加えられました。
今回の改訂では、喘息の病態理解におけるタイプ2炎症の重要性を踏まえながら、低タイプ2炎症(非タイプ2炎症)の病態への関与や環境因子の影響にも配慮し、多様な病態に対応が可能な診療体系を意識して構築されています。
PGAMは、呼吸機能検査ができない非専門医においても、呼吸器内科専門医との連携により、適切な喘息診療を実践できるように構成されています。
今回の改訂では、①生物学的製剤使用のロードマップ、②喘息の疫学・喘息死、③咳嗽と喀痰、④胃食道逆流症(GERD)、声帯機能不全(VCD)/誘発性喉頭閉塞症(ILO)、⑤患者管理に活用可能なアプリ、日本アレルギー協会助成制度の紹介などが新規の項目として追加されています。
また、小児から成人へのトランジション医療・高齢化喘息、さらには妊娠合併喘息といったライフステージごとの特性にも焦点を当てて、より包括的な視点からの診療指針を提示しています。
咳嗽や喀痰などの呼吸器症状で苦慮される患者さんへの対応に、本ガイドラインを活用していただけますと幸甚に存じます。