タンパク質の動きと機能 ―原理・モデリングから創薬まで―
Ivet Bahar ・ Robert L. Jernigan ・ Ken A. Dill ・原著・ 藤崎 弘士・ 藤崎 百合・訳・ 松永 康佑・著
本体価格 11,000円
(税込価格 12,100円)
【目次】
第1章タンパク質は特定の構造に折り畳まるポリマーである
第2章タンパク質は細胞の機能を果たす
第3章タンパク質は安定な平衡配置をとる
第4章タンパク質への結合が生物学的な作用につながる
第5章タンパク質折り畳み(フォールディング)と凝集は協同的に起こる転移である
第6章タンパク質折り畳みの速度論についての原理
第7章タンパク質は進化する
第8章バイオインフォマティクス:タンパク質配列からの洞察
第9章タンパク質の幾何学とエネルギー
第10章分子動力学シミュレーションと構造サンプリング
第11章アミノ酸配列からタンパク質の構造を予測する
第12章タンパク質の動きから生物の作用が生まれる
第13章ドラッグディスカバリー(薬剤発見)のための分子モデリング
付録1章ニューラルネットワークによるタンパク質構造予測:AlphaFold 2
付録2章クライオ電子顕微鏡による構造解析
索引
【記事】
本書は、タンパク質を「構造」「機能」「運動」「進化」という統一的な視点から理解するための理論的枠組みを提示した生物物理学・計算生物学の名著『Protein Actions: Principles and Modeling』(Ivet Bahar、Robert L. Jernigan、Ken A. Dill著)の翻訳本であり、タンパク質を“生きた分子機械”として捉える知的興奮に満ちた一冊である。
本書の最大の魅力は、単なる実験的知識の羅列ではなく、折り畳みや結合、ダイナミクスといった現象を統計力学やエネルギー論、動力学など様々な角度から体系的に説明している点にあり、生物・化学・物理・統計学など幅広い分野の学生・研究者が学びやすい教科書となっている。基礎から応用までの構成も巧みで、安定構造や協同性、折り畳みキネティクス、進化、分子シミュレーション、薬物設計などを段階的に学ぶことができ、構造生物学・分子動力学・創薬分野の学生や研究者にとって極めて有用である。特に「なぜその構造がその機能を生むのか」「どのような運動が生命現象を支えるのか」を定量的に理解したい読者にとって、本書は最良の道標となるだろう。
さらに、原著にはなかった「AlphaFold」「クライオ電子顕微鏡」の解説を付録章として追加しており、タンパク質の最新の研究分野についても知ることのできる一冊となっている。