【記事】
本書は,脳・神経系における情報表現の主役であるニューロンの振舞いについて,物理学,化学の記述と整合性のある理解を提供することを目的としている.初版から20年以上,生命科学系・薬学系・医学系・物理系・化学系・情報工学系のバックグラウンドを持つ学部学生~院生・研究者の教科書・参考書として,定評を得てきた.
これまでの本書の趣旨はそのままに,第3版でのおもな改訂点は,光学的手法による神経科学の紹介である.7章では,神経ネットワークの動作原理と情報表現についての基本的な考え方を紹介し,神経ネットワークの動作原理の解明に用いられるようになった光学的な研究方法の原理を解説した.8章では,脳波についての記述を細胞外電位の文脈にまとめ,新たにエファプティック相互作用を追加した.
これから神経科学を学ぼうとする,あるいは周辺領域から神経科学分野に参入しようとする若手研究者にとって,細胞レベルの神経生理学を学ぶ際の参考書として有用である.