【記事】
ろう重複障害とは、聴覚障害に加えて知的障害や発達障害などを併せ持つ状態を指す。これは単なる障害の足し算ではなく、個々に異なる複雑な課題状況を生じさせる。
現在、ろう重複障害児に関する情報は十分に整理されておらず、親や教師は単一障害の情報を頼りに試行錯誤するしかない状況にあり、その結果、精神的に追い詰められることも少なくない。
本書では、具体的な事例を通して、ろう重複障害の子どもたちとのコミュニケーションのあり方を探る。特には、子どもの生活とことば(手話や手指サインなど)のつながりを重視し、個々の事例を丁寧に描くことで、読者が具体的な手がかりを得られるように工夫している。また、現場の教員や支援者が各視点についてより深い理解を得られるよう、重要な概念・用語を詳しく説明する。
ろう重複の子どもたちとのコミュニケーションの形成・展開に取り組む専門家の地平を拓き、子どもたちと親御さん、教員・支援者との関係性に希望と安心感をもたらす実践的な一冊。