【記事】
本書は、我が国の脱細胞化組織研究・開発の現状をできる限り網羅し、これから脱細胞化組織研究に参入しようとする研究者の参考となること、また我が国の脱細胞化研究者の研究内容を紹介し、情報共有を行いながら、脱細胞化組織製品に対する評価体系の構築、規制基準の提案、安全性確保のための知識基盤の構築の端緒とすることを目論んで編集した。第Ⅰ編では脱細胞化組織の現状について、第Ⅱ編では脱細胞化組織に関する共通理解のための基本的な事項についての解説を行い、第Ⅲ編では日本の研究者の個々の研究を紹介していただいた。
脱細胞化組織研究は日々進歩しており、医療機器としての性能や組織・臓器再構築機能についての評価が定まるのはもう少し時間がかかると考えられる。本書が脱細胞化組織研究に従事する、あるいは従事しようとする研究者諸氏にとって有益な指針や情報源となれば幸いである。
本書は2019年に『脱細胞化組織の作製法と医療・バイオ応用』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。