【記事】
これまでに発行された国内外の多くの肺高血圧症診療ガイドラインでは,肺高血圧症の国際分類に沿って解説・推奨が行われてきました。2018年には,日本肺高血圧症・肺循環学会の監修で『肺疾患に伴う肺高血圧症診療ガイドライン』が発行されましたが,その後さまざまな新たな臨床データが蓄積されています。そのような背景のなかで,第3群のみならず,肺疾患を併存するが他の群に分類される集団も対象に含めて作成されたのが,「肺病変を有する肺高血圧症」診療ガイドラインです。
「肺病変を有する肺高血圧症」に遭遇する機会が圧倒的に多いのは呼吸器内科医です。また,併存する慢性肺疾患に対して適切な治療を行うことができるのも呼吸器内科医です。そのような理由から,「肺病変を有する肺高血圧症」の診療には呼吸器内科医の積極的な介入が期待されており,本ガイドラインが日本呼吸器学会の監修のもとで作成されたことには大きな意味があると考えています。本ガイドラインでは13のクリニカルクエスチョン(CQ)を設定し,これまでのガイドラインでは取り上げられなかった臨床上の問題点にも言及しています。多くの先生方に本ガイドラインをご活用いただき,「肺病変を有する肺高血圧症」の診療における適切な治療方針選択の一助となれば幸いです。