【記事】
世界的な人口高齢化によりがんを患う高齢者は増えており、その診療頻度は高い。「がん」と「高齢者」の双方の視点から患者をとらえる必要がある高齢者のがん診療特有の難しさに、多くの医師・医療従事者が悩み、老年腫瘍学の専門的な知識と適切な評価方法を学ぶ必要性を感じているのではないだろうか。
本書は、老年腫瘍学について網羅的かつコンパクトにまとめた教科書である。全体は大きく9つの編に分かれ、診療現場で遭遇するあらゆる状況・幅広いトピックについて記されている。各章は短く、章末には要点がまとめられているため、読み通して全体を学ぶにも、知りたいポイントを調べるにも適した内容となっている。
全米屈指のがん研究拠点の研究者らを中心とした著者陣によって書かれた原書を、日本老年腫瘍研究会(JGOS)会員を中心とした国内の気鋭の研究者・臨床家がわかりやすく翻訳し、現状や国内事情に配慮し必要に応じて適宜注釈を付した。