精神科「フライング診断」を乗り越える ―鑑別と併存診断のケーススタディ―
【目次】
■テーマ1 抑うつ症との鑑別が必要な症例
■テーマ2 統合失調症との鑑別が必要な症例
■テーマ3 不安症・強迫症・解離症・衝動制御症との鑑別が必要な症例
■テーマ4 摂食と睡眠・覚醒の障害との鑑別が必要な症例
■テーマ5 パーソナリティ症との鑑別が必要な症例
■テーマ6 神経発達症との鑑別が必要な症例
■テーマ7 脳器質疾患による精神症状との鑑別が必要な症例
■テーマ8 薬物の副作用と精神疾患の鑑別が必要な症例
【記事】
「精神科を専攻して2、3年経てば、そろそろ1人で外来を担当させられることになるであろう。
これから野戦病院でどんどん経験を積んでいこうという段階である。
さすがにそのころには、典型的であれば統合失調症やうつ病、あるいはパニック症などの
診断に困ることはないかもしれない。しかし、外来やリエゾンで往診した患者を前にして、
症状が複雑で定型的でない、診断を下すには情報が足りないなど、困惑することも少なくない。」
本書の「はじめに」で著者が記したこの言葉に、
若い精神科医だけでなく多くの医師がうなずき、同意するのではないだろうか。
そして、一度下した診断が経過をたどっていくうちに「違っていたか」と思い始めたり、
紹介されてきた患者の診断名に疑問を抱くといったことも、よく経験するだろう。
そんな “一見すると○○症と診断してしまうかもしれないが、
よく症状を見たり観察していくと△△症の診断になる” という51の症例を紹介した書籍である。
「少し臨床経験も積んできて、診断にも慣れが生じてしまっている…」
「時々やってくる複雑な症状を抱えた患者さんに対応できる自信を持ちたい!」
「めったに遭遇しない珍しい症例のことをよく知っておきたい!」
こんな思いをお持ちの方であれば、必ず役立つ1冊になっているはず。
ぜひご一読をお薦めしたい。