【記事】
人間の在り方を模索した哲学者スピノザ。その書『エチカ』は,当時異端と目されもしたが,後世に長く読み継がれる一書となった。フロイトも言及したスピノザの思想には,精神分析そのものと言える部分があり,哲学者だけではなく,フロイト以降の多くの精神分析家や心理療法家を引きつけている。
本書は,精神分析家として,精神科医として多くのクライエントの心を見つめている川谷大治によるスピノザの哲学を真っ向から扱った一冊である。スピノザの精神分析とは何か。スピノザの思想が精神分析にもたらすものは何か。長年の治療経験と思索から,深く広い「エチカ」と精神分析の世界を解き明かす。