【記事】
使ったら減るという現象=咬耗。果たして咬耗は病いなのか!?
700万年前の人類の祖先である初期の猿人が、気の遠くなるような時間をかけて進化していくなかで完成した咬耗した歯列をもつ鉗子状咬合は、縄文時代までごく普通の咬合様式であった。しかし、弥生時代以降から近年までに、この咬耗現象はなくなり、鉗子状咬合から鋏状咬合に変化した。現在では鋏状咬合が正常咬合とされている。使えば減るという当たり前の現象である咬耗は、現代歯科学ではむしろ「病い」としての扱いである。本書では、自然咬耗咬合より発見されたHIP-Planeから導き出された咬合治療をとおして、咬耗の意義を人類生物学的に考察・検証した。今後の歯科医療に対する警鐘も含めて、ぜひご一読いただきたい。