【記事】
地域共生社会とは「制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会」を指します。高齢化や人口減少が進み、地域をはじめとする人々の生活領域における支え合い、つながりが弱まる中、すべての人が住み慣れた地域で自分らしく生活できる「地域共生社会の実現」に向けた取り組みが進められています。
地域において人々が健康に生活していくための基盤となるのは医療であり病院です。しかし、地域づくり/町づくりという観点において病院がその役割を十分に果たしているのかと言えば、現状ではNOと言わざるを得ません。今後の人口減少社会、つまりは患者減少社会において、病院はこれまでのように病気を持つ方に対して医療を提供するというフェーズから脱却し、地域住民の健康を守る役割を担っていくことが求められます。地域共生社会における病院の役割はこれまでのような「病気を治す」ことではなく「健康を守る」ことになっていくでしょう。
本書ではこれからの地域共生社会において医療機関が今何をすべきかを提示することで、持続的な医療経営への指針を示します。