【記事】
医療における重要課題の1つとなっているのがベンゾジアゼピン受容体作動薬の長期・高用量使用である。
特に、睡眠薬・抗不安薬としての処方で依存などが生じ、減薬・中止といったいわゆる出口戦略の実践に大きな困難が伴うことは精神科医に限らず、多くの医師が経験していることだろう。
そうした現状を踏まえ、日本睡眠学会、日本臨床精神神経薬理学会、日本不安症学会、日本プライマリ・ケア連合学会という4学会協力のもとベンゾジアゼピン受容体作動薬の適正使用・出口戦略に対する実践的対処法、非薬物療法の活用などに関する調査が行われた。
本書は、その調査結果をエキスパートの意見として取りまとめた上で、詳細な解説を加え、臨床で活かせる手引きとして示したものである。
エキスパートであれば重要と考える治療の大枠を示した「コンセンサスステイトメント」により、いま一度治療を見つめ直すこともできるし、臨床疑問(CQ)への回答結果を示した「エキスパートコンセンサス」により専門医がどのような治療をしているのか理解して、臨床を進めることも可能である。
共同意思決定や新規薬剤といったテーマにも多く言及し、臨床活用にも大きく役立つ1冊となっているはず。プライマリ・ケア医、精神科医を中心に、多くの学びをここから得られることを願っている。