【記事】
ライフスパン統合療法(LI療法)は、アメリカや欧州のトラウマ治療専門家の間で近年急速に広まった身体ベースの心理療法である。LI療法では、クライアントは思考機能に頼らずに身体レベルで時間が経過したことを理解し、過去の経験や関係を新しい視点から再学習する。そしてトラウマの経験や無意識下の心の傷のために過去の時間に閉じ込められたままのクライアントを、安全かつ確実に現在まで導いて回復させる。対象となる疾患分野は、PTSDを始めとしたトラウマに起因する障害、うつ病や不安症、幼少期の環境に起因するような情動調整のトラブルやパーソナリティ障害、摂食障害、依存症など数多い。本書では、この療法の効果についての脳神経科学的な観点からの仮説、代表的なプロトコールおよびその適用分野について詳説。