【目次】
Ⅰ.眼球外傷
強角膜外傷―緊急処置と手術術式― 山口 昌大
強角膜裂傷は最初に手術適応,麻酔方法を判断する.裂傷縫合のポイントは,9割程度の深さ,同じ幅に,創口の形状に合わせて縫合することである.
水晶体・IOL脱臼―手術術式と注意点―
千葉 矩史ほか
後囊破損を伴う外傷性白内障,眼内レンズ脱臼症例に対する術前診察のポイント,実際の手術手技や注意点について解説した.
毛様体解離―診断と手術術式― 野口三太朗
外傷により毛様体が強膜から剝離し低眼圧を示す毛様体解離は長期放置すると低眼圧黄斑症になる.前眼部OCTにてciliochoroidal effusionサイクロペクシー法等で毛様体を強膜に癒着させる必要がある.
眼球破裂―診断と手術術式― 和田 悦洋
緊急疾患である眼球破裂に対して,的確な診断を行うためのポイントを説明する.また治療については開放創の縫合ならびに硝子体手術の手術術式とそのコツについて解説する.
Ⅱ.眼窩外傷
眼窩骨折―閉鎖型骨折の診断と治療の実際― 太田 優
閉鎖型骨折は若年者に発症し狭い骨折部に眼窩軟部組織が嵌頓,眼球運動が著しく障害される.特に筋絞扼型では血流が途絶し外眼筋壊死をきたすため緊急の手術が必要である.
眼窩骨折―開放型骨折の診断と治療の実際― 澤野 宗顕
眼窩開放型骨折の診断と治療について.上顎洞バルーンによる標準的術式,チタンプレートや人工骨等の人工再建材料を用いた整復方法を解説した.
外傷性視神経症―特徴的所見と治療の実際― 恩田 秀寿
外傷性視神経症は眉毛外側の鈍的打撲直後から視力障害をきたす眼窩疾患であり,失明に至ることがある.
眼窩コンパートメント症候群(眼窩先端部症候群)―薬物治療と手術治療― 三村 真士
眼窩コンパートメント症候群は,短時間で失明に至る緊急眼疾患である.できるだけ速やかに,利尿剤の投与と,外眥靱帯切開+外眥靱帯下脚切断を行い,視機能の保護を行う.
Ⅲ.眼付属器外傷
眼瞼外傷―手術の実際―
柿﨑 裕彦
眼瞼外傷では視機能を考えて治療を行う.瞼板縫合時に縫合糸を結膜面に出してはならず,瞼板欠損の再建には瞼板の使用を考慮する.美容的な配慮も必要である.
涙器外傷―涙小管断裂の手術の実際― 加島 陽二
涙小管断裂の治療には内眥部の臨床解剖的知見を理解することが涙小管内側断端の検出に役立ち,涙小管縫合とともに周囲筋層の再建が導涙機能の回復に重要である.