【記事】
人類が2500年以上にわたってつくりあげてきた”知の結晶”それが「哲学」です。私たちが「科学」とよんでいる学問は,かつて哲学に含まれていました。そして,17世紀から19世紀にかけて,哲学から分かれ,科学として発展しました。
実をいうと,今では科学者とよばれるガリレオやニュートンも,みな哲学者だったのです。哲学者たちは,はるか古代ギリシャの時代から,さまざまな現象を見て,「なぜだろう?」と疑問に思い,その答えを考えつづけてきました。現在,科学技術が発展し,私たちの豊かな生活が築かれたのも,そんな哲学者たちの知の営みのおかげといえるかもしれません。
科学が哲学からわかれたといっても,現代においても科学は哲学と密接に関係しています。たとえば,時間をどのようにとらえるのか? 脳という神経のかたまりには「心」はどこに存在しているのか? 宇宙はどのようなしくみになっているのか? など科学者たちが哲学的な答えを考えています。
またゲノム編集などの科学技術が発展や新型コロナウイルスの蔓延などで,生命倫理や公衆衛生倫理が注目を集めています。もちろん,倫理は哲学の一つの分野です。
本書では,哲学の歴史をたどりながら,それらを一つひとつ紐解いて見ていくことにしましょう。