【記事】
色を変えただけなのに、効果は“てきめん"?
スポーツのパフォーマンスを変え、ダイエットの効果にも影響。
「映え」だって見せ方次第。
思わず誰かに話したくなる“色の正体"
「場違いの色」「食欲をそそる色」「癒しの色」「発想力を高める色」――人はいろいろなシーンで色を感じ行動する。しかし不思議なことに、同じものでも見方や角度、環境によって違った色に見えてくる。また、鮮やかな色の花、熟すと赤くなる果実、毒々しい色の蜂や蛇――いずれも自らの生命・種を維持するために自然が生み出した知恵だという。いったい我々が見ている色の正体は何なのだろうか。
生まれたばかりの赤ちゃんは色の区別がつかず、成長とともに見分けられるようになる。実は、もともと動物にとって光を感じ取るだけだった器官はカンブリア紀に初めて形の分かる目へと進化し、肉食動物は獲物を探し、食べられる側も敵をいち早く発見するために目が大いに役立った。「食べる・食べられる」の関係から目は急速に進化を遂げた。植物も色を巧みに使うことで動物を引き寄せ、受粉や種子の運搬を可能にしていった。
そして、やがて人類だけが色を楽しむようになった。絵を描き、身の周りを装飾し、生活に変化と潤いがもたらされた。色に新たな価値が加わり、いまや「映え」を競っている。
しかし、実際にものの表面に色が付いているわけではない。表面には反射の仕方の違う波長の光があるだけで、その光があたかも色が付いているかのように見える仕組みを目と脳が備えたのだ。目の構造や脳の情報処理は動物によって異なり、動物が見ている色と人が見ている色とは違っている。知れば知るほど、色の世界は不思議なことばかり。
本書は、色彩工学の専門家が、色の不思議、その正体を身近な例とともに探求・解説する雑学エンターテインメント。最新の科学的実証に基づいた、思わず誰かに話したくなるナルホドが満載。マーケティングや商品開発に関わる人、インスタで「映え」を求める人にも是非おすすめの一冊。親子で読めば、子供の探求心を育み、心豊かな成長をもたらすかもしれない。