【記事】
泌尿器科ではカテーテルという生体にとっては異物となるものを体内に留置したりすることがしばしばありますが、このカテーテル管理における感染制御は泌尿器科医にとっては極めて重要であり、よく理解しておく必要があります。また、最近では高齢者を対象とした在宅医療も進み、在宅医療の現場における尿路管理の重要性も高まっております。こういった社会のニーズに応えられるように本ガイドラインではCQが設定されています。
また、泌尿器科では膀胱腫瘍に対する治療としてBCGを用いることもしばしばありますが、この膀胱内BCG注入におけるさまざまな疑問にも本ガイドラインは答えてくれています。このように、泌尿器科医にかなり特異的で専門的なCQと解説がある一方、在宅における尿路管理などは泌尿器科医以外の一般開業医にとってもバイブルとも言えるようなガイドラインに仕上がっています。
さらに、感染の制御のなかで最も大事なのは予防でありますが、第1章の総論においてCQ1-CQ4で感染予防の基本的な考え方、標準予防策について詳細にかつわかりやすく記載されており、ついつい抗生剤治療に頼りがちなところ、感染制御における予防の重要性を再認識させられます。感染はひとたび広がってしまいますと、その対応には極めて多くの資源を消費してしまいます。感染制御は医療費削減にも繋がるわけです。本ガイドラインはその一助となると思います。