海馬を求めて潜水を 電子書籍あり 作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険
ヒルデ・オストビー/イルヴァ・オストビー・著・中村冬美・羽根由・訳
【目次】
第1章 海の魔物
――海馬の発見
第2章 二月にタツノオトシゴ(海馬)を求めて潜水を
――記憶は脳のどこに定着するか
第3章 スカイダイバーが最後に考えること
――個人的な記憶とは
第4章 カッコウのひな
――虚偽記憶はいつ(正常な)記憶の中に忍びこむか
第5章 大掛かりなタクシー実験とかなり奇妙なチェス対決
――記憶力をよくする方法
第6章 忘却は思い出の真珠を作る
――なぜ人は忘れるのか
第7章 脳内のタイムマシン
――過去を思い出すことも未来を想像することも
よい思い出のための処方箋――みなさんへ感謝を
【記事】
探究心旺盛なノルウェー人姉妹がコンビを組んで、記憶の不思議をめぐる旅へ。海馬はいつ見つかった? 記憶と思い出す場所の関係は? 記憶力をよくする方法とは? なぜ人は忘れるの? 未来を想像するのにも記憶力は必要?――ときに記憶研究の歴史を紐解き、ときに記憶に問題を抱える人たち(テロの生存者、海馬を損傷した人など)を訪ね、ときに記憶のスペシャリストたち(研究者、タクシー運転手、チェスのグランドマスター、舞台女優、オペラ歌手、記憶力チャンピオン、未来予測家など)の門を叩く。生きることと記憶のよき関係を探る、人生の処方箋になること請け合いの一冊。
ヒルデ:私はもっと忘れたいわ。つまり、人生における否定的な経験を。そんなの永遠に消えてくれたらいいのに。忘却は過少評価されている。
イルヴァ:悲しい思い出だって真珠のネックレスの一粒なのだから、忘れることが必ずしもよいことだとは言えないわ。それでも私は、日常生活の忘却については異議を唱えたかったの。いつでもどんなことでも記憶しておこうという試みはやめるべきよね。