【記事】
本書は,医療人類学の最前線を描いた『苦悩することの希望 -専門家のサファリングの人類学-』(2014年刊行)の続編です.
前著では保健医療福祉に関わる専門家の苦悩をテーマに,そのサファリングの様相を掘り下げましたが,本書ではさらにその専門家のサファリングの本質を,地域・へき地医療で働く若い医師たちの経験を通して改めて問い直しています.
著者となった医師たちは,全員が大学教育において人類学の講座を履修した人々であり,そこで学んだ人類学的な思考方法,その記述方法を活用して自分自身の医師としての経験の意味や自分の役割を見出してきた人々です.
本書では,こうした若い医師たちの考察に続き,それに応答する形で人類学者がコメントを寄せ,さらには地域・へき地医療の一線で働く先輩医師たちの論考も掲載しています.