【記事】
新型コロナウイルス(Covid-19)が出現する前から,人類は感染症の脅威と戦い続けてきました。スペイン風邪,ペスト,天然痘,コレラ,HIV(エイズ)などのほか,SARS,世界的に大流行した新型(H1N1型)インフルエンザ,致死率80%を超えるエボラ出血熱など,次々に出現しています。
新薬を開発しても,ウイルスは突然変異を起こして新型を生み出し,耐性をつけ,進化し続けます。こうした状況が続くなかで,私たちはどうすればよいのか? 今,本当に知っておくべき正しい知識とは? そもそもどのようにしてうつるのか? 重症化を防ぐ条件とは? なぜ,制圧できない感染症が存在するのか? 今後,人類と感染症の闘いはどうなっていくのか? さまざまな疑問に,本書はわかりやすく的確に答えてくれます。
新型コロナウイルスが終息しても,「超ウイルス」がいつ現れてもおかしくない状況は続くといわれています。著者は「感染症の根絶は無邪気な考え」であり,人類はウイルスとの共生を学ぶ時が来ていると述べています。そして,そのために重要なのは生態学と進化学だと。そうした新たな観点から書かれた興味深く,かつ実用的な必読の一冊です。