【記事】
「細胞」というと,あなたはどのようなことが頭に浮かびますか。学生時代に顕微鏡で見たタマネギの表皮細胞でしょうか。ニュースでよく目や耳にする「ES細胞」や「iPS細胞」という人もいるでしょう。
ゾウやネズミなどの動物,四季に合わせてきれいな花をつける植物や,病気を引きおこす細菌など,地球に暮らす生物の姿は千差万別です。しかし,そこには一つの共通点があります。あらゆる生物の体は「細胞」からできているということです。もちろん,私たち人間も細胞の集合体です。たとえば目や耳,骨や筋肉,小腸で栄養を吸収する吸収上皮細胞など,外見も役割もことなる細胞たちがそれぞれの居場所ではたらき,生命のいとなみを支えているのです。
“細(こまかい)”という字のとおり,一つひとつの細胞は非常に小さなものですが,どうやらそこには,生物が生きるうえで共通の基本原理が秘められているようです。本書を通して,「生命のカラクリ」について探求していきましょう。