【記事】
内容も体裁も一新することにした.
その大きな特徴は,まず第1章で発声発語障害学に必要な解剖生理学的知識と音声学的知識について頁を割いて解説し,音声障害などの各発声発語障害について新しく学修しながらも,常に解剖生理学的基盤や音声学的基盤に立ち返ることができるように構成を工夫したことである.さらに各章や節ごとに学修の到達目標を掲げたので,重要なポイントもおわかりいただけると思う.
また,この10年の間に発声発語障害の評価法や治療法も飛躍的な発展を遂げた.したがって,この新しい評価法や治療法を実際に展開している第一線の臨床家と指導者にこの第3版では執筆をお願いした.どの章でもこれまでよりも頁数を割いて具体的な手順を加筆していただいており,少しでも臨床に役立つように心がけた.
そして,すべてが新しく難しい知識ばかりではなく,最低限,覚えておいてほしい基礎知識についてもしっかり理解したうえで学んでいけるように,各執筆者には丁寧な解説をお願いした.このように編者が欲張ったせいか,各執筆者にはかなりご負担をおかけすることとなった.しかしその分,基礎知識と最新知識をバランスよくコンパクトにまとめていただけたと自負している.
さらに各章の末尾には,障害ごとの事例報告の執筆をお願いした.学生諸君には,実物大の発声発語障害の事例を活き活きとイメージしてもらいたいと考えている.また,臨床実習などで事例報告を作成する際にもぜひ参考にしてもらいたいと思う.
また第3版では,これまであまり取り上げられていなかった脳性麻痺や発語失行,クラタリングなどについても新しく項目を設けることにした.新しい知識にぜひとも触れてもらいたい.