【記事】
「ここで二つの問いが問われる。どのようなふうにして、われわれの文化は、病に逸脱の意味を与え、排除されるべきものとしての地位を、病人に与えるようになったのであろうか。それにもかかわらず、社会が自らの姿をそこにみとめようとしない病のかたちの中に、じつは社会がかえって自らを表現しているというのは、どういういきさつによるのであろうか。」
その後の理論展開を準備した、フーコーの最初の著書。第一部「病の心理学的次元」では、精神病理学を形成してきた三つのアプローチを紹介しながら、その基盤に対して認識論的批判を行う。さらに、第二部「狂気と文化」では、狂気をその文化自体のポジティヴな表現と説き、ヨーロッパの歴史をたどり、その研究の新たな方法を論じる。「哲学入門」というシリーズの一つとして刊行された、最良のフーコーへの入門書。