【記事】
初版,第2版と大好評書の3年ぶりの改訂第3版です.内容はおなじみの世界の3大トップジャーナル, New England Journal of Medicine, The Lancet, JAMA誌にこの16年間に掲載された総説論文の中から,総合診療にとって重要な論文を選んでレビューしています.その情報は日々新たでなくてはならず,この第3版では新たに42論文381ページの大幅増ページとなりました.ただし,単にボリュームが大きいだけでなく,初版以来多くの方々からご評価いただいているごとく,すべての論文は著者が精選し,医局での抄読会でも十分に吟味されたうえでのものです.おそらく,臨床医学の領域で単独の著者による専門書で,これほどのスケールの大きいものは近年の少なくともわが国では比類のないものと思われます.著者の本書執筆にかけた16年間の総合診療への渾身の思いが随所にあふれており,必ずや読まれる方々の心に伝わり,感動を呼ぶことと思われます.なおかつ医学以外の文学,哲学,歴史学,民俗学への底知れぬ造詣は,振り返ったときに医学的知見の理解においてもより深みを感じさせてくれるものと思います. 伊豆半島の僻地に近い地方にありながら,全国から研修の申し込みが絶えることのない所以でもあろうかと思います. この1冊を熟読されることで,著者をモデルとしてITを駆使して情報を収集すれば,たとえどのような地方の環境のなかで臨床に携わっておられようとも,世界水準の最適,最良の医療サービスが提供できるものと思われます.