【記事】
21世紀初頭、発達障害の概念は、精神医学の様々な領域に広がり、精神医学のパラダイムを覆すほどの影響をもたらした。それから20年、発達障害、特に自閉症スペクトラム障害(ASD)に関する研究は、精神病理学の中でも大きな柱をなす重要な領域となっている。臨床知を集積し、発達障害の病理学的本質を見極めるという問題意識のもと総勢17人の臨床家が集い、2日間にわたるワークショップを開催した。本書にはそこでの徹底した議論を踏まえて書き下ろされた9編の論考が収められている。どの論文も「発達障害の精神病理」を体現し、これまでの目の粗い診断基準や記述ではすくい取ることのできない現象に光をあてる。発達障害をもつ人の苦しみや生きづらさに対するより繊細な理解を提供することを目指す『発達障害の精神病理』シリーズの第2弾がここに結実。