【記事】
近年,ドクター・ショッピングによるベンゾジアゼピンなどの処方薬入手や過量服薬に象徴されるように,日本でも“違法薬物でない”薬の乱用・依存が深刻な問題となりつつある。処方薬依存は医師が処方する治療薬であるため医原性の要素も強く,違法薬物とは異なる対応が必要となる。本書の著者は実弟を処方薬依存の影響で喪った米国のジャーナリストであり,当事者をはじめ関係者への膨大な取材を基に,依存症の背景から治療,家族への援助など,処方薬依存症に関する本質的で重要な知見をまとめあげた。日本初の処方薬依存症に関する書籍として,本書は依存当事者や家族は勿論,治療者・支援者に是非役立てていただきたい貴重な一冊である。