【記事】
昨今、クレプトマニア(窃盗症)として世に知られる「病的窃盗」という問題行動は、触法行為である点からも社会的・心理的に受け入れがたく、理解や支援に乏しく治療が難しい。本書の著者は万引き依存からの回復者であり、C.A.S.A.(無名の病的窃盗者たち)という自助グループの設立者である。本書では当事者の視点から、病的窃盗をいわゆる古典的クレプトマニアとは異なる嗜癖的・強迫的な行動の問題として捉えた。本書で語られる当事者たちの物語や独自の工夫が施された回復のための演習は、クレプトマニアの他、ギャンブル依存など近縁の問題行動に悩み苦しむ当事者や家族に、また依存問題に取り組む多職種の方々に大いに役立つであろう。