【記事】
心脳問題、さまざまな学派による派閥主義、DSMという診断名のカタログ――。精神医学はなぜ扱う者によって多様になり、かくも理解が困難な学問になってしまったのだろうか?
現在の精神科医が立脚するすべての立場は、あくまで精神医学の部分的な理解にすぎず、立場によって患者そのものが異なって見えていると著者たちは言う。本書はそうした多種多様な表れ方、そして捉えられ方をする精神障害を4つの観点を用いて分類し、治療の体系化を試みるものである。
患者は何を「もっている」か(疾患)、患者は生来何で「ある」か(特質)、患者は何を「行っている」か(行動)、そして患者は何に「直面している」か(生活史)。この4つの観点によって解決すべき問題が明らかになり、はじめて患者の人生をよりよく変化させうる方法を選択することができるのである。
データサイエンスが医学を席巻する時代において、学派を超えて共有すべき精神医学の役割とは何か。長らくジョンズ・ホプキンス大学精神医学部門を牽引してきた著者たちによる、臨床と研究のためのベーシックテキスト。