【記事】
ミラノシステムは国際的な普及をゴールとしており,本書はゴールを達成する一助となるだろう!
・国際細胞学会IACが刊行した唾液腺細胞診の国際的な報告様式Reporting Systemの日本語版.
・国内には標準化された報告様式がなく,診断精度の向上や臨床と病理の意思疎通が難しい要因となっていた.原著の共著者である樋口佳代子氏と浦野誠氏が監訳者となり,本書はより原文に即した分かりやすい内容に仕上げた.
・第1章では,イントロダクション,続いて細胞診の報告は,I.不適正,II.非腫瘍性,III.意義不明な異型(AUS),IV.腫瘍〔A.良性,B.良悪性不明な唾液腺腫瘍(SUMP)〕,V.悪性の疑い,VI.悪性の6段階で報告するよう病変の実例を含めて分かり易く説明している.
・平易な美しい日本語を駆使して読みやすく,細胞診の写真の質も保たれていて見やすい.
・ミラノシステムの本領は細胞検査士,病理医,細胞診に携わる臨床医,画像診断医を有機的に結び付け,唾液腺腫瘍の診断と治療に有益な指針を示すことである.診断が困難な唾液腺細胞診の領域で,本書が国際水準の細胞診断をする際の座右の書として,大いに活用されることを願う.